普段自家用車に乗って移動していると、路面を気にして走ることはほぼありません。
しかし自転車乗って走ると、路面には敏感になってくるものなのですね。
無事に宇治をでた我々新米クロスバイク乗りの2人は山道らしきところを走り始めました。
ヒルクライムなどと立派なことを言ってますが、正真正銘のローディーの方たちからすると宇治から天ヶ瀬の道は朝飯前のちょちょいのちょいでしょが、私はチョット余裕がありません。
しかし妻の前で偉そうに余裕をかまさなければいけません。
がんばれよとか、一チョコ前にギアの指示もします。
「軽めのギアで足の回転数を上げると楽だよ」とか
「たまには立ち漕ぎみたいにすると筋肉を休ませることが出来るらしいよ」とか
「立ちこぎをダンシングと言うらしいよ」とか
偉そうな能書きばかりを垂れ流して、威厳を保とうと考えています。
そうです、亭主としての威厳は先ず困難に立ち向かったとき辛い顔せずに妻に安心感を与えることにあると思ったのです。
私は決して呼吸の乱れを悟られないように、そして声を掛け続けたのです。
後に妻はこういいました。
「途中走っているとき歌でも歌ってたの?」
どうやら私の激励のアドバイスは鼻歌に聞こえていたようです。
安全の為、妻は私の前を走らせ(正しいのかどうかわかりませんが)後ろから声を掛けて、後ろの車に自分達がいるよと牽制の意味も含めて私が妻の後ろを走ります。
(あまり意味が無いかな?)
当然私が妻を守ってる的な「かっこいい」亭主であるアピールも忘れていません。
そんななか、後ろから2トントラックが走ってきたとき私たちを追い越そうにも対向車が走ってきているので追い越せずに、徐行してくれていました。
そして対向車がいなくなり、トラックがギアを入れ替え追い越しに入ったとき、ちょうど私の横をすり抜けたときでした。
妻が大きな声で・・・・・・
「ぎゃーーーー、カタツムリ~~~~~」
と言って道路側にはみ出したのでした。
横のトラックはかなりのマージンを取ってくれていたので接触や事故と言った最悪の場面にならなくて済んだのですが、あれはいけません。
明らかに自転車素人の私でも妻に注意しなければいけないと思いました。
一先ず、天ヶ瀬ダムに到着して私は先ず妻に言いました。
「後ろから見てたけど、カタツムリで道路をはみ出すのはだめだよ・・・・・などなど」
かっこよく決まったかに見えました。
妻は私に言いました。
「だって虫は飛んでくるし、カタツムリはいるし、葉っぱはおちてくるし。」
なんとも虫嫌いの妻は、困ったものです。そこでいいました。
「カタツムリの命も大切だけど、君がいなくなることの方が私は辛いよ」
なかなかどうですか?(笑)
妻は私に言いました。
「心配してくれてありがとう、以後気をつけます。」
なんとも素敵な感じゃないですか?
そして、景色に見とれている妻の後ろで自分の足をストレッチしている50歳のおっさんから見た景色でした。
私は見事にカタツムリのお陰で威厳を保つことが出来たのです。
天ヶ瀬ダムに到着して素晴らしかったのは景色でもありますが、妻が私に信頼を寄せて威厳を保つことが出来たこの素晴らしい夫婦関係が有って初めて見る風景が素敵に感じる。
まぁ多少オーバーですが、天ヶ瀬の景色は疲れた分素敵でした。
こうして、坂道の怖さを私は知ったのですが本当の恐怖はこの先にあったのです。
通常の一般道のだらだらとした坂道・・・・・・
これこそが太ももに来るのですね・・・・・・