短編小説!ハードボイルドな休日の前夜(妄想です。)

明日が休日と言う1週間最後の仕事は特に気合が入る。ハードに仕事をこなし、それなりに家族サービスもしている私にとって「明日が休日」と言う一週間で最後の最後の仕事の瞬間は猛烈にラストスパートをかけるのだ。

体中のエネルギーを出し切り、残るエネルギーは疲れ切った身体と心を癒してくれる行きつけのバーかホテルに行くために残しておくと決めているのだ。このまま仕事が終わった勢いで琵琶湖のリゾートホテルを予約していたので車を1時間くらい飛ばし、夜のディナーに間に合うように高速を走る。

一人でディナーをとるというスタイルは私には日常の事で特に寂しい気持ちは無い、むしろ自分と向き合う良い時間で心地が良い。周囲は週末と言うこともあり家族連れやカップルが多い。

ホテルのレストランの店長がわざわざ挨拶に来てくれて、世間話を数分して、又自分の世界に戻る。

一人で泊まるには贅沢すぎるくらい広い部屋で、読みかけの本に目を通すが数分もしない間に睡魔が襲って来て、数時間眠りに着いた。気が付くと23時を回っていた。寝る前にアルコールをと思いラウンジに向かう。

ホテルラウンジのカウンターに座ると、いつもと違うバーテンダーが挨拶とともにいつもの飲み物でいいかと聞いてきた。流石は高級と名がつくホテルの一流ラウンジのバーテンダーだ。申し送りもしっかりしている。私は妻を連れてラウンジで飲むときは「ギムレット」と決めている。数年前にレイモンド・チャンドラーの「ロング・グッド・バイ」がテレビで放映されてから有名になったカクテルだがそれを真似した訳ではない。私は昔から好きなお酒だ。

しかし一人のときは迷わずバーボン・ブッカーズを注文するのだが、今日カウンターの中に居る女性のバーテンダーは何故だが私が一人のときと、妻同伴の時との区別を知っている。今夜はバーボン・ブッカーズを出してきたので流石だと思った。

私のハードボイルドな人生において、今のこのタイミングが最高の充電時間である。63度も有るバーボンを一杯飲んだだけで、疲れているのも加味してか酔いが回ってきた。帰り際に女性のバーテンダーが又お待ちしてますと言った。「さよならを言うのはわずかの間死ぬ事だ。ギムレットを飲んだら私の事は全て忘れてくれ」と言って彼女にギムレットをおごってやった。

眩しい気配で目が覚めると、高級リゾートホテルの広すぎる部屋で目が覚めた。熱いシャワーで昨日のうろ覚えの記憶を整理しながら朝食にはまだ早いので軽くプールで泳ぐ事にした。よく考えてみればプールに行くならシャワーを浴びる必要もないように思えるが、一見無駄に思えるこの瞬間もハードボイルドには大切な時間だ。

プールでは一心不乱に泳ぐ。体力と気力を養うにはスイムは欠かせない。実際にハードな毎日を潜り抜け一人の夜を楽しむには仕事をトラブル無くこなす必要が有る。ハードボイルドに生きる男の週末の小さな贅沢と一週間が始まる決意の朝なのだ。

プールの後は昨晩とは雰囲気が変わってはいるが同じ場所のラウンジで朝食を取る。ここに来た時は「アメリカンブレックファースト」と決めている。昨晩座ったカウンターから数席離れた場所で一人で朝食を取る。昨日の夜の出来事がほんの数メートル離れた場所で、女性のバーテンダーと言葉を交わさなくてもお互い意識した「甘く危険な香り」は全く残っていなかった。昨晩とは雰囲気が完全に真逆で健全でいてすがすがしい朝に似合う雰囲気となっている。「私はわずかの間死んで生き返ってここへ帰ってきたが彼女はまだ眠りについているようだ。」

食事が終わり、ホテルの敷地内の海辺に設置してあるベンチに座り、何も考えずに海を眺めるのもハードボイルドな時の過ごし方である。

以上は全て妄想です。(笑)

処でこの「ハードボイルド」と言う言葉、今では私語字なっているかもしれませんが、分解してみよう。ハードとは「硬い」。ボイルドとは「ゆでるとか沸騰した」と言う意味がありますが、硬めにゆでた卵と言う意味が有るそうです。私はハードボイルドとはかけ離れた、家では子育て、料理、洗濯と何でも家事を共有し、愛妻家として生活しています。ハードボイルドとはワイルドで危険でダンディー、クールそして渋く男前、しかもハードアクションの女性にモテル。しかも身元が良くわからないシークレットな雰囲気の男ですよね。私は全く逆です。昔ハンフリーボガードのカサブランカという映画を見てかっこいいと思いましたが、とても私には演じる事が出来ない雰囲気を実は心の中で常に演じているのです。(笑)今回はチョット妄想を小説風にしてみました。(笑)レイモンドチャンドラーの「長いお別れ」も楽しい小説です。もし興味があれば週末の夜にホテルの部屋で読書もいいかもしれませんね。

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